「昨日までエアコンが効いていたのに急に冷えなくなった」「最近暑くなってきたからエアコンをつけたら効かなかった」など、車のエアコンは急に不具合を起こすことも珍しくありません。
車のエアコンが効かなくなると、夏場は熱中症になる可能性があり大変危険です。
そこで今回は、車のエアコンの仕組みを解説しつつ、冷えない原因を症状別に詳しくご説明します。
原因を知ることで、どこを修理すればよいのかが分かり、修理費用の目安を立てる際にも役立つでしょう。
画像で解説|車のエアコンの仕組みはこうなっている!

- コンプレッサーでエアコンガスを圧縮した後、高温高圧ガスの状態でコンデンサーに送られる
- コンデンサーで冷却される。冷却は、コンデンサーの後方に取り付けられたコンデンサーファンが行う
- コンデンサーで液化が進み、レシーバーに送られる
- レシーバーで不純物を取り除き、液化したエアコンガスをエキスパンションバルブに送る
- エキスパンションバルブのノズル穴からエバポレーターに向けてエアコンガスが噴射される。このとき、低圧低温の霧状のエアコンガスとなる
- 噴射されたエアコンガスは一気に気化され、エバポレーターを冷やす。エバポレーターの前方に取り付けられているブロワファンで冷たい空気を送る
- エバポレーターから循環されてきたエアコンガスはコンプレッサーに戻り、再び圧縮の工程に入る
まずは車のエアコンが故障しているのか調べてみよう

車のエアコンが効かないと焦ってしまう前に、まずはエアコンが故障しているのかどうかを調べてみましょう。
この項目では、故障しているかを調べられる2つの方法をご紹介します。どちらも簡単なので、ぜひ実践してみてください。
エアコンフィルターが目詰まりしていないか確認する
エアコンフィルターとは、車内に入れる空気をきれいにろ過する部品です。
車外の空気は、ほこりなどのゴミが多く含まれています。この汚れをきれいにする役割を果たしているのが、エアコンフィルターです。
目詰まりしたエアコンフィルターは表面にほこりやゴミが付着しているため、目視ですぐに判断できます。
この詰まりを放置すると、エアコンの風量が弱くなったと感じたり、エアコンの効きが悪くなったりします。
エアコンフィルターの交換時期は、車検と同じ2年毎です。ただし、砂ぼこりが多い地域や空気が汚い道を多く走る方は、1年程度で交換するとよいでしょう。
エアコンフィルターの交換費用は、数千円が目安です。高価なものではないため、目詰まりを発見したら放置せず、すぐに交換しましょう。
内気循環でエアコンをつけてみる
そもそもエアコンの吹き出し口から冷たい風が出ているのか分からないという場合は、以下の方法を試して確認してみましょう。
- 窓を全て閉める
- 外気導入ではなく内気循環にする
- 風量を最大にする
- 冷房を最低温度に設定する
夏場は特にエアコンがすぐに効くわけではないため、上記の方法を試すときにずっと車内にいると熱中症になる可能性があります。しばらくは車外の日陰や、エアコンの効いた家の中で待機することをおすすめします。
また、アイドリングストップ搭載車である場合は、途中でエンジンが停止してしまうのを防ぐために、アイドリングストップのスイッチをオフにしておくことも忘れないようにしましょう。
車のエアコンが効かないときに考えられる原因

エアコンフィルターが目詰まりしていないことを前提に、この項目では車のエアコンが効かないのは何故かをご説明します。
エアコンから冷たい風を出すために、車は多くの部品を使っています。どこに異常があるのかを見つけるのが、原因探求の第一歩です。
エアコンガスが不足している
エアコンが効かない原因第一位といっても過言ではないのが、エアコンガスの不足です。
エアコンガスは、空気を冷やすために必要になります。エアコンガスが不足している状態では空気を冷やせないため、エアコンが効かないと感じるでしょう。
エアコンガスが不足する理由のひとつは、走行中の振動です。
エアコンガスは本来漏れることがないため、不足するという状態も理論的にはありえません。しかし、走行中の振動によってエアコンガスの気密性が維持できなくなり、漏れ出てしまうことがあるのです。
エアコンガスの補充は、ディーラー以外にも整備工場やガソリンスタンドなどですることができます。お店に依頼するときの費用は、数千円程度が目安です。
コンプレッサーの故障
コンプレッサーは、エアコンガスを圧縮するための部品です。
圧縮することによってガスが液体状になり(厳密にいうと半液体状)、この液体が気化するときに空気が冷やされる仕組みです。
コンプレッサーが作動しているかどうかは、エアコンのスイッチを押したときに「カチッ」という音がするかどうかで判断できます。
1人では確認しにくい場合もあるため、2人以上で作業できるとスムーズです。1人が車内でエアコンをオンにするスイッチを押し、もう1人がエンジンルーム内にあるコンプレッサーから「カチッ」という作動音がするか聞きます。
エバポレーターの故障
エバポレーターは、空気を冷やすためにある部品です。
エキスパンションバルブという部品からエバポレーターに噴射されたエアコンガスは、一気に気化が進みます。
気化が完了したエアコンガスはエバポレーターの熱を取り除いた後、冷えた空気を車内へ送る仕組みです。
症状別|車のエアコンが効かない原因一覧
エアコンは、冷えない、効かないといった症状以外にも、異臭や異音がするなどさまざまな症状が現れます。
以下に車のエアコンのよくあるトラブルを一覧にまとめ、その原因をご紹介します。
- エアコンが効かない(冷房):エアコンガスの不足、コンプレッサーやエバポレーターの故障
- エアコンが効かない(暖房):冷却水の不足、サーモスタットの故障
- 異臭や異音がする:エアコンフィルターやエバポレーターの目詰まり
- 異音がする:ブロワファンモーターの故障
基本的には、上記のように症状別に原因を究明していきます。場合によっては他の部分に異常がある可能性もあるため、できれば一度整備士に確認を依頼したほうがよいでしょう。
車のエアコンが効かないときにできる応急措置

渋滞中に急にエアコンが効かなくなったときや、修理をしている暇がないときは、応急措置をしましょう。
猛暑の日だと、エアコンが効かず車内が冷えないのは死活問題です。ときに命に関わることもあるため、あらかじめ応急措置の方法を覚えておくことをおすすめします。
車に乗り込む前にドアを開閉して空気を入れ替える
車内の空気は、想像以上にこもります。そのため、まずは車に乗り込む前にこもった熱い空気を外に出しましょう。
車の空気を入れ替える手順は、以下の通りです。
- 助手席の後ろの窓を全開にする
- 運転席のドアを何度か開閉する
運転席のドアを開閉する際は、1回ずつしっかり開け閉めする必要はありません。軽くパタパタと仰ぐイメージで行いましょう。
車内のこもった空気を入れ替えるだけで、車に乗り込んだときの体感温度をある程度下げることができます。
走行中に空気を入れ替えるなら対角線上で窓を開ける
車内の空気は、走行中に入れ替えることもできます。
走行中にできる空気の入れ替え方法は、以下の通りです。
- 運転席の窓を10cm開ける
- 助手席の後ろの窓を5cm開ける
開ける窓の大きさが異なるのは、より効率的に空気の入れ替えを行うためです。
差をつけることによって圧力の変化が起き、車内により多くの外気を取り入れ、素早く空気を外に排出できます。
コンデンサーに水をかける
コンデンサーは、ラジエーターの前にある網目状の部品です。小さいパーツではないため、すぐに見つけられるでしょう。
コンデンサーが熱過ぎる状態では、エアコンガスを冷やすのに余計なエネルギーが必要となります。しかし、コンデンサーに水をかけることによって、空気を冷やす手伝いができます。
なお、コンデンサーに水をかける際はやさしく行うのがポイントです。コンデンサーは固い部品ではないため、勢いよく水をかけると網目が変形する可能性があります。水はペットボトルでかける程度で問題ありません。
渋滞時にエアコンが効かなくなったらエンジンの回転数を上げる
渋滞など、車が長時間動かないときにエアコンが効かないと感じることがあります。このようなときに実践できるのが、エンジンの回転数を上げることです。
渋滞時にエンジンの回転数を上げる方法は以下の通りです。
- シフトレバーをパーキング(P)に入れる
- アクセルを踏み、回転数を2000程度まで上げる
間違っても、ドライブ(D)の状態でアクセルを踏み込まないよう注意してください。
知っている?エアコンだけではない車のACボタンの活用方法

車のACボタンはエアコンをONにするときに使うという方が多いのではないでしょうか。
もちろんその使用方法は間違いではありません。しかし、他にも車のACボタンの活用方法はあります。
この項目では、エアコン以外にも使えるACボタンについて詳しくご紹介します。
そもそもACボタンの役割って何?
ACボタンは、コンプレッサーを作動させるためにあるボタンです。
ACボタンを押すとコンプレッサーが作動するため、エアコンの吹き出し口から冷たい風を送ることができます。
ACボタンがオフのままだとコンプレッサーが作動しないため、ただの送風モードとなります。
車のACボタンは除湿にも使える!窓ガラスの曇りを除去して視界をクリアに
車内と車外の空気の温度差が大きくなると、窓ガラスが曇りやすくなります。曇った窓ガラスは視認性が悪いため、周囲を確認しにくく大変危険です。
窓ガラスを曇らないようにするためには、車内と車外の空気の温度差を少なくしなければなりません。
ACボタンを押すことで、車内の除湿をすることができます。結果、車内と車外の温度差を少なくでき、曇りを取り除くことが可能となります。
まとめ

エアコンのトラブルは、早期発見がカギとなります。
本格的に暑くなってから車のエアコンが効かない、冷えないと気付くと、修理するまで暑い車で移動しなければなりません。夏前にきちんとエアコンが作動するか、確認しておきましょう。
もし何らかの異常があった場合は早急に対処しておくことで、快適に夏を過ごすことができます。
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