【整備士監修】車のエンジンがかからない!原因の究明方法と対処法

整備士監修シリーズ

車のエンジンがかからない原因は複数考えられ、どのタイミングでかからなくなるかは分かりません。そのため、出かけようと思ったタイミングや、出先の駐車場から帰宅しようとしたタイミングで、エンジンがかからないと焦ってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。

急にエンジンがかからなくなると焦ってしまうことは自然なことです。しかし、車のエンジンがかからなくても自分でできる対処法があります

そこで今回は、車のエンジンがかからないときに自分でできる対処法と、整備士目線での原因究明方法をご紹介します。

焦る前に確認を!車のエンジンがかからないときにチェックすること

車のエンジンがかからないときは、本格的な原因究明をしていく前に確認したいことがあります。

車は正しい位置にシフトが入っていないとエンジンがかかりません。また、ブレーキを踏んで始動しようとしているかどうかも重要なチェックポイントです。

この項目では、正しいシフト位置やブレーキの踏み込みをはじめとして、5つのポイントをご紹介します。

AT車なら「P」か「N」、MT車なら「N」にシフトが入っているか

AT(オートマ)車は、シフトが「P(パーキング)」か「N(ニュートラル)」に入っていないとエンジンがかからない構造になっています。

MT(マニュアル)車であれば、「N」にシフトが入っていなければエンジンはかかりません。

普段は「P」や「N」にシフトを入れてからエンジンを停止させている方でも、ふとしたときに「D(ドライブ)」にシフトが入ったままエンジンを切ってしまい、次に車を動かそうとした際にエンジンがかからず慌ててしまうことはよくあることです。

普段そのようなことをしないからこそ、この簡単な操作ミスには気付きにくいかもしれません。まずは焦らずシフトが正しい位置に入っているかを確認しましょう。

AT車ならブレーキ、MT車ならクラッチをしっかり踏み込んでいるか

車は、AT車であればブレーキ、MTならクラッチを踏んだ状態でなければエンジンを始動させられません。これは誤発進を防ぐ目的があります。

AT車は「P」や「N」にシフトが入っていないとエンジンはかからない構造であるため、ブレーキを踏んでいなくても誤って急発信してしまうことはないのではと考える方もいるでしょう。

しかし、車は機械であり、故障するものです。故障によって「D」にシフトが入っていてもエンジンがかかるといった故障事例があるのですが、例えばこのときに下り坂や狭い駐車場などで急に車が発進してしまうと事故につながる可能性が上がります。

MT車も同様の考え方です。クラッチを踏み込むことで、エンジンの動力がタイヤに伝わるのを遮断します。

また、ブレーキやクラッチの踏み込みがあまい場合もエンジンはかかりません。ポイントは、しっかりと奥までペダルを踏み込むことです。

ガソリン切れの状態になっていないか

車がガソリン切れの状態になる前には、いくつかの兆候があります。この兆候を無視し続けると完全にガソリンがなくなり、ガス欠となります。

ガソリン切れとなる前に現れる兆候は、以下の通りです。

  • エンプティランプが点灯する
  • カーブや坂道など、車が傾くと「プス、プス」と息つきの症状が出る
  • アクセルを踏んでも加速をしない
  • 普段はしないエンジンからの音や振動が出る

走行中にこれらの兆候が現れたときは、直ちにガソリンスタンドで給油をするか、安全な場所に停車しましょう。

ガス欠で車を動かせなくても、加入している任意保険のロードサービスやJAFなどを利用することでガソリンを持ってきてもらえたり、希望の場所まで車を運んでもらえたりします。

バッテリーの状態は良好か

車に積まれているバッテリーも、エンジンがかからない原因となる要素があります。

代表的なのは、バッテリー上がりです。バッテリーが上がるとセルを回しても車は何の反応もしません。

日常的に車を使用していても、ヘッドライトやハザードライトを消し忘れて放置してしまうとバッテリーは上がることがあります。

また、バッテリー液の量が不十分でもエンジンがかからないという症状が出るケースがあります。

そして、バッテリーのターミナルが緩んでいないか、白い粉を吹いていないかという点も確認したいポイントです。白い粉を吹いている場合は拭き取って、ターミナルと端子がしっかり密着するようにしてみてください。

バッテリー上がりをしたときの予防策として、以下のようなジャンプスターターを車にひとつ載せておくと万が一のときも安心です。

ハンドルロックしていないか

ハンドルロックとは、キーが刺さっていない(近くにない)ときにハンドルを回そうとするとかかるロックで、車の盗難防止装置のひとつです。

ハンドルロックとなるとキーは回らない状態となり、シリンダに差し込むタイプのキーで無理に回そうとすると折れる危険性があります。

ハンドルロックとなってしまったときの解除方法は簡単です。

ハンドルを動く範囲内で左右に振りながら、キーを回します。プッシュスタート式の車も同様の方法で、ハンドルを振りながらボタンを押すだけです。

整備士が説く!車のエンジンがかからないときの原因究明方法

車は複数のパーツが組み合わさって構成されているため、エンジンがかからないと一言でいっても原因はさまざまです。

そこでこの項目では、整備士が実際に行う原因究明方法についてご紹介します。理由が分かれば対処法を導き出せるので、ぜひ参考にしてください。

エンジンが全くかからない場合

エンジンが全くかからない場合は、まずイグニッションコイルという点火系統を確認します。

確認方法は、以下の通りです。

  1. ディストリビュータキャップ側のプラグコード(レジスティブコード)先端とアースの間を10mm程度にする
  2. クランキングする

クランキングした結果、火花が飛ばない、飛んでも弱い場合は以下の原因が考えられます。

  • 回線の配線不良
  • イグニッションコイルの不具合、寿命
  • コンデンサ不良

朝などエンジンが冷えているときにかからない場合

夜の間に車が冷やされると、朝に車を使用しようとしたときにかからないことがあります。

普段はエンジンがかかっていても、朝などエンジンが冷えているときにかからなくなる場合の点検手順は以下の通りです。

  1. チョークバルブが正常に作動しているか
  2. 加速ポンプが作動しているか
  3. ファーストアイドルの回転は低すぎないか

チョークバルブは、エンジンを動かすための混合気の空燃比を調整する重要なパーツです。このパーツが正常に作動しないと、エンジンが冷えていても空燃比を高められず、エンジンがかからないという症状が出ます。

また、加速ポンプが作動しないと燃料を噴出することができません。

ファーストアイドルの回転が低すぎると回転を維持できず、エンジンがかからない、一時的にかかってもすぐに止まってしまいます。

エンジンはかかっていたのに、走行後止めると再始動しなくなる

走行後駐車場などでエンジンを止め、再始動しようとしたときにエンジンがかからない場合は、濃い混合ガスが発生していることを疑います。

濃い混合ガスが発生する原因の一例は、以下の通りです。

  • チョークが全開していない
  • チョークの開閉作動の異常
  • オーバーフロー
  • オーバーヒート

チョークの修理であれば調整で済むケースもありますが、オーバーヒートやオーバーヒートの一歩手前まできてしまった車の修理費用は膨大になります。

エンジンがかからない、かかりにくいなど少しでも異変を感じたら、すぐに修理を依頼しましょう。

エンジンがかからないと焦らないためにはメンテナンスが重要!

車は定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスを怠ると、エンジンがかからないといった結果を招くだけでなく、走行中の安全性にも影響を及ぼします。

この項目では、車屋に依頼しなくてもよい自分でできる車のメンテナンス方法をご紹介します。

自分でできる!エンジンオイル交換

オイル交換は、お店に頼まなくても自分でできます。一度必要な物をそろえれば、使い捨て品以外はその後何度でも使用できるので節約にもなるでしょう。

自分でできるオイル交換の手順は、以下の通りです。

  1. ボンネットを開けて、フィラキャップを緩める
  2. 車体をジャッキアップする
  3. オイルパンの下に位置する地面に廃油処理BOXを置く
  4. メガネレンチを使用して、ドレンボルトをゆっくり外す
  5. 外したドレンボルトに付いているパッキン(ワッシャー)を新品に交換する
  6. オイルが抜けきったら、メガネレンチでドレンボルトを締める
  7. 廃油処理BOXを車の下からどけて、ジャッキアップを解除する
  8. 新品のオイルを入れて、フィラキャップを締める
  9. 数分(1分程度で可)エンジンをかけて切る
  10. オイルレベルゲージを引き抜き、布でオイルを拭き取る
  11. 付着したオイルを拭き取ったら、オイルレベルゲージを元の位置に奥まで差し込む
  12. もう一度オイルレベルゲージを引き抜き、オイルの量を確認する
くるまクマ
くるまクマ

オイル交換について詳しく解説している記事はこちらです。

『オイル交換の時期は走行距離だけで考えるな!目安となる指針を紹介』

エンジンを冷ます重要な役割!冷却水の交換

冷却水(クーラント)には、熱くなるエンジンを冷ます重要な役割があります。冷却水が少なくなっていたり劣化していたりすると、エンジンを冷ます効果が失われるため、最悪オーバーヒートになりかねません。

冷却水は、赤や緑など着色されているのが特徴です。

冷却水の交換時期はエンジンオイルほど頻繁ではなく、2年~3年が一般的です。最近の車には新車時にスーパーロングライフクーラントといわれる冷却水を入れているものがあり、この場合は7年の時点で1回目の交換をし、その後は4年程度で交換となります。

冷却水もエンジンオイルと同じく自分で交換できるので、以下の手順を参考に挑戦してみてください。

なお、作業時はやけど防止のためエンジンが冷えていることを確認し、平坦な場所で行いましょう。

  1. 車体をジャッキアップする
  2. ラジエーター下のドレンコックを緩める
  3. 冷却水が抜けきったらドレンコックを締める
  4. 洗浄のために、冷却水ではなく真水を入れる
  5. 真水を入れた状態でエンジンをかけ、冷却水が通る経路を真水に循環させる
  6. エンジンを切り、冷ましてからドレンコックを緩めて真水を抜く
  7. 真水を抜いたら再度ドレンコックを締める
  8. 4~7の手順を2回繰り返す
  9. 冷却水を入れる
  10. エア抜きをする
  11. エンジンを1時間ほど暖機運転し、補充した冷却水を循環させる
  12. 冷却水の量を確認し、冷却水が減っていたらさらに補充する

手順10の「エア抜き」については、車種やメーカーによって方法がさまざまなので、取り扱い説明書やメーカーの公式ホームページなどを参考にしてください。

状態の悪いタイヤは事故にもつながる!タイヤのチェックポイント

何気なく車を走らせていますが、タイヤの状態がよいか判断できなければ車を安全に走行させられません。

一目見ただけで分かる空気の抜けや傷だけでなく、そのタイヤで道を走っても大丈夫か出かける前に確認したいポイントは複数あります。例えば、以下のようなポイントです。

  • スリップサインは出ていないか
  • 偏摩耗していないか
  • 空気圧は適正か(高すぎても低すぎてもいけません)
  • サイドウォールに膨らみはないか
  • ひび割れや傷はないか
  • チューブレスバルブは劣化していないか

タイヤの空気が漏れている状態で走行すると、「ゴウンゴウン」「ベコベコ」「パタパタ」といった聞き慣れない音がします。

この状態で走行し続けると足回りが歪み、タイヤ交換だけで済まなくなるケースがあるので注意しましょう。

まとめ

動かそうとしたタイミングでエンジンがかからないと、突然のことでパニックになるかもしれません。

しかし、エンジンがかからないことには必ず原因があります。慌てず冷静に、原因を探って対処しましょう。

エンジンの故障はよくあるトラブルのひとつですが、メンテナンスを徹底することで避けられる故障もあります。日常点検や消耗品の交換を定期的に行い、大きな出費につながらないようにしましょう。

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