度々ニュースで目にする「無免許運転」。目にする機会が多いため、たくさんの人が無免許運転をしていると感じてしまいがちですが、実は罰則はかなり重めです。
今回の記事では、重い罰則のある無免許運転について詳しく掘り下げていきます。罰則の内容や、無免許運転の車と事故を起こしたときの保険の使用可否などについても触れるので、ぜひ最後までご覧ください。
- 無免許運転とはどのような違反なのか
- 無免許運転の違反点数や罰則、免許の欠格期間
- 無免許運転の車と事故を起こしたときにどうなるか
無免許運転とはどんな違反?

無免許運転と一言でいっても、単純に免許を取得していないというケースだけではありません。
免許証を持っていても、種類の違う車両等を運転してしまったり、過去の交通違反によって免許取消や免許停止の状態になっていたりする場合も無免許運転となります。この項目では、それぞれのケースについてわかりやすく解説します。
純無免許運転・免許外運転
無免許運転(純無免許運転)とは、免許を持っていないにもかかわらず車やバイクなどを運転することです。極端な例を挙げると、小学生や中学生が車などを運転すると純無免許運転となります。
また、免許を取得できる年齢にある人であっても免許を持っていなければ、車などを公道で走行させると純無免許運転です。
そして免許外運転とは、何かしらの免許は持っていても取得していない種類の乗り物を運転する違反です。例えば、普通自動車免許しか取得していないのに、大型トラックや二輪車(原付を除く)を運転すると免許外運転となります。
免許取消・免許停止中の無免許運転
免許取消や免許停止をされている状態で車などを運転する行為も、無免許運転に該当します。
なお、免許取消の状態で無免許運転をすることを「取消無免」、免許停止の状態で無免許運転をすることは「停止中無免」といいます。名称は異なりますが、いずれも無免許運転であることは同じです。
無免許運転の違反点数と罰則

無免許運転は数ある交通違反の中でも特に危険な行為であるため、違反すると重い罰則が科されます。
この項目では、無免許運転で取り締まられたときに点数が何点累積されるのか、またどのような罰則がなのかをご説明します。
一発免取の違反点数
無免許運転の違反点数は25点です。25点というと、一発で免許取消処分となる点数です。
さらに、2年間の欠格期間も科されるため、再度免許を取りたくても最低2年は取得できません。なお、欠格期間2年というのは前歴がない人の場合であり、前歴がある人は欠格期間が長くなります。
懲役刑もある重い罰則
無免許運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
信号無視や駐停車違反などの軽微な交通違反であれば反則金を納付することで刑事罰を免れることができ、行政処分のみで済みます。しかし無免許運転には反則金はなく、必ず刑事罰を受けることになります。
無免許運転で免許取消となったのに車を運転したらどうなる?
無免許運転で免許取消処分を受け、欠格期間が科されているのに車などを運転すると、欠格期間がさらに伸びることとなります。延長される期間は、1年~2年程です。
また、欠格期間中の運転は無免許運転となるため、再度罰金を支払わなければなりません。
交通事故の相手が無免許運転だったらどうなる?

不幸にも交通事故に遭ってしまい、その相手が無免許運転だった場合にどのような問題が起きるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
そこでこの項目では、自動車保険の使用可否や、いくらくらいの金額が補償されているのか解説します。
自動車保険の使用可否
相手が何の免許も持っていない純無免許運転の場合は、相手が任意保険に加入していることはまず考えられないため、自分の任意保険を使用するしかありません。
相手が何らかの免許を持っている免許外運転の場合は、相手が免許を取得している種類の車両にかけている任意保険でカバーできるケースがあります。
無免許運転の救済役?!自賠責保険
自賠責保険とは、任意保険のような加入がユーザーに委ねられている保険ではなく、絶対に加入しなければならない強制保険です。
そのため、公道を走行できている車両であれば自賠責保険には加入していると考えられるので、以下の自賠責保険の補償を受けることができます。
怪我 | 120万円 |
後遺障害 | 75万円~4,000万円 |
死亡 | 3,000万円 |
任意保険と異なるのは補償額に上限があることです。どのような怪我でも上限は120万円であり、後遺障害を負っても4,000万円、死亡時もたったの3,000万円しか保険金が支払われません。
また、自賠責保険は人に対する補償のみで車両は補償の対象外です。そのため、車を修理する場合は自分の任意保険を使うか実費で負担する、もしくは相手に請求するしか方法がありません。
10:0で自分に過失がない事故で相手が無免許運転の場合
自分に全く過失がない事故の場合は、自分の任意保険を使うことができません。
9:1など「1」でも自分に過失を問われれば、自身が加入している任意保険会社の担当者に事故に関する示談交渉をしてもらうことができます。しかし自分に過失がない場合は、相手との示談交渉を自分で進めなければならず、難易度が高いといえます。
また、示談交渉をするといっても相手は無免許運転をする輩なので、スムーズにいくとは限りません。このようなときに使えるのが、任意保険の「弁護士特約」です。
弁護士特約を付けていれば自分に代わって示談交渉を進めてもらうことができ、損害賠償請求も任せられます。

無免許運転の車に同乗したときの罰則
運転者が免許を持っていないと知っていながら同乗した場合は、無免許運転同乗罪となり2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。ただしこの罪に問われるのは、相手が無免許と知りながら自分を乗せて運転することを求めたり、お願いした場合です。
無免許運転は運転者と同乗者両方が罰せられるため、無免許にもかかわらず運転をしようとしている人がいたら、やめるようしっかりと伝えましょう。
車両提供者は無免許運転と同罪
無免許運転をするかもしれないとわかっていながら車両を提供した人は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。これは無免許運転をした本人と同じ刑罰です。
「一度だけでいいから」「少しだけだから」などといわれても、免許を持っていない人には車を貸さないよう気をつけましょう。
誰かに車両を貸す際は、免許証を見せてもらって有効期限と運転できる車両の種類を確認できると安心です。
まとめ

- 無免許運転をすると違反点数25点で一発免許取消処分となる
- 無免許運転の車と事故を起こしたら自分の任意保険が使える
- 相手に補償させられるのは自賠責保険の範囲内で上限がある
- 万が一に備えて任意保険に「弁護士特約」を付けておくと安心